ジャニーズ事務所の前社長・藤島ジュリー景子氏。叔父の故・ジャニー喜多川氏の性加害問題は、国連部会も「深く憂慮すべき疑惑が明らかになった」と言及した
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 ジャニーズ事務所ビッグモーター。同族経営の企業による不祥事から見えた同族経営の体質とは。AERA 2023年10月9日号より。

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 同族経営による企業の不祥事が相次いでいる。

 創業者のジャニー喜多川氏(2019年死去)による性加害問題で、批判の声がやまないジャニーズ事務所。新人発掘とタレントの育成は長年、社長のジャニー氏、会社経営など実務面は、ジャニー氏の実姉で副社長の藤島メリー泰子氏(21年死去)が担い、姉弟の二人三脚で築き上げてきた「王国」だ。ジャニー氏が亡くなった後は、メリー氏の長女である藤島ジュリー景子氏(57)が社長を務めてきた。

 今年3月、英BBCがジャニー氏に関するドキュメンタリー番組を放送し、4月には元ジャニーズJr.のカウアン・オカモトさんが声を上げて以降、告発が続き、事務所は外部の専門家による「再発防止特別チーム」を設置。8月に公表された調査報告書は、取締役会が開催されていなかったことや、ジャニー氏を監督する機能がなく、メリー氏によって性加害を隠蔽(いんぺい)する体質が強化されていたことを指摘。報告会見では、同族経営の弊害が繰り返し強調された。

 創業者一族が絶大な権力を握る典型的な同族経営企業。保険金不正請求が明らかになった中古車販売大手ビッグモーターも、まさにそのひとつだ。

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