一方、こんな意見もある。コンサルティングファーム勤務の20代女性は、紅白にジャニーズのタレントが出場するかは「正直どうでもいい」と冷めた視点だ。「性加害の告発があったときに、“忖度”があったかを検証することが優先」なのに、「加熱報道が続いて、マスコミが世論に流されているように見える」ことが気にかかるという。

 週刊誌記者を経て芸能リポーターとして活動する石川敏男氏は、「いまここへきて、紅白歌合戦ジャニーズタレントを出さないというのは、ヘンだと思いますよ」と言う。

「今までの選び方が正しかったとは言わないけれど、紅白には『楽曲のヒット』『広く認知されているか』など、わかりやすい基準があった。そこをクリアしていたら、性加害をしたわけではない現・ジャニーズ事務所に所属しているタレントさんたちが出演することは、何ら問題はないはず」(石川氏)

 NHKは過去に紅白歌合戦の選考基準として、「今年の活躍」「世論の支持」「番組企画にふさわしいか」などを明らかにしている。

 石川氏は性加害を「ジャニー喜多川氏個人が犯した問題」としながらも、「その創業者が長い間中心となり、会社を大きくし、社会的にも世界的にも大きな問題になった」と指摘。

「ジャニーズ事務所がカウントダウンコンサートを今年は中止にするというなら、それは会社としてのけじめのつけ方かもしれません。ただ、公共放送の国民的番組に放送局側から出演見送りを申し出るのはおかしな話。NHKに特定の企業がスポンサーとしてついているなら別ですが、NHKにはスポンサーがない。いままでの基準で選べばいい」

 そうは言いながら、出演者ゼロとなった場合の紅白について、こう語った。

「NHKの一大イベントである紅白歌合戦に、ジャニーズタレントが出演しないことになったら、どんな出演者が名を連ねるのか。そういう意味では『変化』が生まれるのが今年なのかとは思います」

 “事務所の対応が十分と判断するまで”、つまり、いまの体制のままでは、ジャニーズのタレントの紅白出演は“ない”。ジャニーズ事務所は10月2日午後、記者会見を行い、“新体制”を発表する予定だ。

9月7日、ジャニーズ事務所の記者会見での藤島ジュリー景子氏(右)と東山紀之氏

(AERAdot.編集部・板垣聡旨、太田裕子)

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