YouTube の動画撮影や原稿の執筆は、お気に入りの京都をイメージした和室で 写真/上田泰世(写真映像部)
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 軽快でいて柔らかな言葉で悩みや不安に寄り添う"精神科医Tomy"。SNS やYouTube などで多くのフォロワーに支持され、著書も大ヒット。好評発売中の週刊朝日ムック『医学部に入る2024』では、インターネットを駆使して情報発信する医師、Tomy 先生の素顔に迫りました。同ムックの記事をお届けします。

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ツイッター初投稿から2カ月目で運命の大バズり

ストレスを減らすたった一つの方法。それは「手放す」こと。執着を手放す。「こうならなきゃいけない」を手放す。人をコントロールしたい気持ちを手放す。手放せるものは沢山あるわ。手放せば手放すほど心は楽になっていく。最後にどうしても手放せないものが残る。これが生きる理由よ。

 Tomy先生がこの言葉をツイッター(現X)でつぶやいたのは2019年の8月のこと。その2カ月前から投稿し始め、もともとブログに多くの読者がいたこともあり、フォロワー数は日ごとに増えていましたが、この言葉で大バズり。Tomy先生いわく「お祭りが始まっちゃったのかな?」という状態だったそうです。

「ツイッターを始める人が急速に増えたころで、気に入ったつぶやきを純粋な気持ちでリツイートしてくれる人が多かったんです。いいタイミングだったと思います」

 これらの名言はいったいどこから生まれるのかと聞くと、「パソコンの中に膨大なメモを入れていて、そこから拾っているんです」と教えてくれました。

「精神科医の仕事は病気の診断をして薬物療法をおこなうのが基本です。患者さんに何かアドバイスしたくても、待合室には1 日100人もの患者さんが待っていて、1人に割ける時間にはどうしても限界があります。でもせめて何かひと言、短くてもぼくらしい言葉でアドバイスしたくて、思いついた言葉を片っ端からパソコンのメモアプリに入れていきました」

 この人には、この言葉。こういう人にはあの言葉。そうやって書きためた短いメッセージは、ツイッターの140文字という文字数制限とも好相性でした。

 一方で、断定的な表現は避け、受け取った人が自由に解釈できるような余韻を残すことを意識しているといいます。

「ぼくが一人で診られる患者さんの数には限りがありますが、不特定多数の人にも自分の思いが届けられ、反応が返ってくるのは純粋にうれしかったですね」

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Tomy先生が精神科医になったわけとは