「市谷」という地名から、「革新」をもたらす部署名に

 本社のある市谷に拠点を構えるという意味の「市谷事業部」という部門名だった祖業の出版部門は、様々な組織改革を経て、2019年10月に「出版イノベーション事業部」と名称変更をした。市谷事業部の時代は、各出版社の担当営業が編集部などを回って進行(入稿・校了)を確認したり、新雑誌の立ち上げ時に製造の打ち合わせをしたりするなど、出版社からの受注仕事中心の組織だった。

 竹崎雄一課長(出版イノベーション事業部BLM企画本部データマネジメント部分析企画課)はこう話す。

「旧来の工場は、雑誌製造に特化していました。また、電子書籍が現れても、紙の本と電子は別の部署が担当し、営業・製造・流通もまた各部署で遂行していました。でもそれでは、“気づき”が生まれません。バラバラだったものを1つにし、新たに企画部門も組み入れました。出版業界全体の課題を一貫して考える組織となることで、出版業界に革命を起こしたいという思いもあって、私たちは、業態を変化させて部署名も変えました。さらに、読者の目線で本との出会いを考える取り組みを強化し、絶版になっている絵本を復刻する『復刻書店 いにしえ』や、実験的な試みを行う本屋『外濠書店』(新宿区市谷田町DNPプラザ)など多くのアイデアを生み出してきました」

出版の強みとは何か、今も紙メディアの優位性はあるのか

「ニュースはほぼ、ネットで読んでいます」「新聞の購読はやめました」「この1年、雑誌を買っていないな」。そういう人は、年々多くなっている。

 紙文化は終焉したのか……。

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