65歳以上だと100人に約1人発症

 パーキンソン病の患者数は、28万9000人と推定されています(厚生労働省「令和2年患者調査」)。人口1000人あたり1~1.8人の割合で発症します。高齢になるにつれて発症する人が増え、65歳以上では100人に約1人と、珍しい病気とはいえません。人口の高齢化に伴い患者数は増えており、今後も増えると考えられています。なお、まれに40歳以下で発症することもあります。

 親や親族がパーキンソン病になると、「自分も遺伝的に発症しやすいのだろうか」と心配になるかもしれません。しかし、発症に遺伝が強くかかわる「遺伝性(家族性)パーキンソン病」は、全体の1割程度と考えられています。約9割は、主に加齢や環境的要因などが重なって発症し、親から子へ遺伝することのない「孤発性パーキンソン病」とされます。

「40歳以下で発症した人には遺伝性が多いと考えられており、60歳前後で発症した場合は、遺伝性ではなく孤発性だろうと推定されます。身内にパーキンソン病の人がいるからといって、必ずしも自分もパーキンソン病になるわけではないので、心配し過ぎないようにしましょう」(大山医師)

 環境的要因には、農薬や化学物質、栄養の偏り、飲食物の嗜好(しこう)などが指摘されていますが、完全には解明されていません。

「生真面目な性格が発症に影響するという指摘もあります。実際、患者さんには生活態度がきちんとしている人が多いという印象があります。また、尿酸値が高いことや喫煙は発症しにくくする要因とされ、これらを考えあわせると、真面目過ぎないほうがいいのかもしれません。だからといって、過度な飲酒、尿酸値が高くなる、喫煙するというのは、生活習慣病やがんなど、ほかの病気のリスクを上げることになり、お勧めできません。腸内細菌の変化が発症に関係するという研究がおこなわれているので、腸内環境を整えるのはいいと思います」(大山医師)

脳内で神経細胞が減り、ドパミンが減っていく

 神経伝達物質の一種に「ドパミン」があります。パーキンソン病では、脳の奥にある中脳の黒質という部位で、このドパミンが減少しています。ドパミン減少の理由は、ドパミンをつくる神経細胞が減るためです。「α-シヌクレイン」という異常なたんぱく質が神経細胞に集まり、それが塊(レビー小体)をつくることで神経細胞が減ると考えられています。ただし、α-シヌクレインがどのようにして集まるのかは解明されていません。

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パーキンソン病とレビー小体型認知症は、兄弟のような病気