パーキンソン病という病名を聞いたことはあっても、どんな病気なのかはよく知らない人は少なくないようです。日本での患者の割合は約1000人に1人と、パーキンソン病は決して「珍しい病気」ではなく、治療で症状をコントロールしながら、仕事を続けたり、趣味などを楽しんだりできます。症状や発症の仕組みなどについて、パーキンソン病を専門とする脳神経内科の医師に聞きました。この記事は、週刊朝日ムック「手術数でわかるいい病院」編集チームが取材する連載企画「名医に聞く 病気の予防と治し方」からお届けします。「パーキンソン病」全3回の1回目です。
【チェックリスト】パーキンソン病 歩くのが遅くなった・・こんな症状がある人は受診を
* * *
「パーキンソン病」は脳の神経細胞に変化が生じて、手足がふるえる、動きが遅くなるなど、主に体の動きが悪くなる病気です。治療のベースは内服薬で症状をコントロールすること。今のところ、治療で進行を完全に止めること、完治することはできませんが、症状の進行をゆるやかにすることはできるため、すぐに寝たきりになることはなく、過度に恐れる必要はありません。
パーキンソン病の患者会との交流に力を入れている順天堂大学順天堂医院脳神経内科准教授の大山彦光医師は、次のように話します。
「治療法が発達したことにより、患者さんは長く自立した生活を送れるようになっています。多くの高齢者と同様、やがては介護が必要になりますが、パーキンソン病ではない人と比べても、寿命は大きく変わらなくなりました」
介護を受けながらの生活が続くうち、やはりほかの高齢者と同じように、加齢に伴って全身の機能が低下していって、誤嚥(ごえん)性肺炎や尿路感染症などの合併症で亡くなることが多く、パーキンソン病そのもので亡くなるというわけではありません。
発症に気づきやすい「運動症状」とは
パーキンソン病の主な症状に、振戦(ふるえ)、動作緩慢(動作が鈍く、遅い)、筋強剛(関節の動きが硬い、ぎこちない)、姿勢保持障害(転びやすい)があります。