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海上保安官の姿を20年以上撮影してきた米田堅持さんはこの夏、「潜水士」を養成する海上保安大学校(海保大)の研修科潜水技術課程(潜水研修)に密着した。
潜水士は、転覆船や沈没船から要救助者の救出や行方不明者の潜水捜索などを行う、海難救助のスペシャリストである。
約1万4400人の海上保安官のうち潜水士は約200人。「希望してもなれない人のほうがはるかに多い人気の職種」だという。
ところが、20年ほど前まで「人を救助するよりも遺体を揚げることのほうが多い、汚れ仕事だと言われた時代が長く続いた」。
それが一変したのは2004年に公開され、大ヒットした映画「海猿」がきっかけだったという。
伊藤英明演じる海上保安官は厳しい潜水研修を乗り越えて潜水士となり、救助を待つ人々がいる危険な現場へ飛び込んでいく。この映画以来、潜水士になりたくて海上保安官を目指す若者が一気に増えた。
毎年脱落者が出る研修
潜水士のファンもすごいという。
「海保大では毎年6月に『海神祭(わたつみさい)』という学園祭が行われるんですが、女性を中心に潜水士のファンが全国からやってくる。お目当てはプールで行われる『潜水研修実演』です。この整理券の配り方を間違えると、『暴動』が起きるくらい彼女たちの熱気はすごい。実際、ぼくから見ても潜水士は筋肉ムキムキだし、かっこいい。それに驚くほど真面目ですよ。陸上勤務になってからも出世する人が多い」