AERA臨時増刊「サザエさん2023秋」(480円〈税込み〉朝日新聞出版)昭和20~40年代に新聞連載された漫画「サザエさん」(作・長谷川町子)を、テーマ別に収録した増刊の最新号。特集は「手紙と電話」。昭和の古き良き文化を漫画で振り返る。「エプロンおばさん」傑作選も併録

公衆電話は大幅に減少

 当時赤電話は、10円玉を入れて通話する形式で、たばこ屋の軒先や駅には必ず1台は置かれていた。背景には、当時の家庭用固定式電話の普及率の低さがある。全家庭に普及したのは、80(昭和55)年頃。72(昭和47)年時点での普及率は47%と、昭和30~40年代前半は、ほとんどの家庭に電話はなかったのだ。電話は下宿屋やアパートの大家さんに借りて使うのが通常で、友達や恋人との内緒の話をするには非常に不便な代物だった。赤電話は100円玉を入れるとお釣りが出ないので、10円玉を何枚も握りしめて電話をかけるのがお約束だ。

 平成に入り、テレホンカードが使用可能な緑やグレーの公衆電話が登場。その後はご存じの通り90年代後半から携帯電話が爆発的に普及し、今や1人1台持つのが当たり前で、仕事用とプライベートで使い分ける人もいる。一方、公衆電話の設置台数は最盛期の85(昭和60)年の93.5万台から2020年3月末時点で14.6万台にまで減っている。(編集部・工藤早春)

AERA 2023年10月2日号