巨人時代の谷佳知
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 リクエスト制導入以降、判定絡みで監督や選手が退場を宣告されるケースは少なくなったが、昨年5月にロッテのレアードと井口資仁監督が相次いで退場になるなど、今もトラブルの種は尽きない。

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 かつての“退場王”ローズ(元近鉄など)のような暴れん坊ならともかく、時には温厚そうなイメージのある監督や選手も「まさか!」の退場処分を受けることもある。

 柔和な笑顔がトレードマークにもなっているのに、1度ならず3度も退場になったのが、3チームの監督を歴任した梨田昌孝氏だ。

 人生初退場は、近鉄監督時代の2002年8月14日のオリックス戦。事件が起きたのは、2点リードの8回の守りだった。

 無死一塁でセギノールを遊ゴロに打ち取り、6-4-3の併殺が成立と思われたが、杉本大成一塁塁審の判定は「セーフ!」。

 直後、梨田監督がベンチを飛び出し、「完全にアウトだ!」と激しく抗議したが、勢い余って杉本塁審の胸を両手で突いてしまい、暴行により退場が宣告された。

 その後、1試合出場停止、制裁金10万円の処分を受けた梨田監督は「初めてのことで反省している」と言いながらも、「ただ残念です。悔しいですよ」と不満をのぞかせていた。

 2度目の退場劇は、日本ハム監督時代の09年8月30日のソフトバンク戦。事件のきっかけは、1点リードの6回無死一、二塁で二岡智宏が試みた投前への送りバントだった。

 一塁へ走り出した二岡が捕手・田上秀則と接触すると、飯塚富司球審は守備妨害アウトを宣告した。

「あれでアウトって、そんなバカな」。納得できない梨田監督は5分以上にわたって抗議を続けたため、遅延行為により退場となった。

 ちなみに二岡の前打者・小谷野栄一も無死一塁でバントした直後、田上と接触していたが、ソフトバンク・秋山幸二監督が守備妨害をアピールしたにもかかわらず、「問題なし」。同じようなプレーが連続して起きたのに、判定が異なっているのだから、「(5分で)引き下がってくれといわれても、引けない」(梨田監督)気持ちも無理からぬものがある。

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久保田龍雄

久保田龍雄

久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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