五郎丸歩(ごろうまる・あゆむ)/1986年、福岡県生まれ。早稲田大から2008年にヤマハ発動機に入部。15年W杯ではフルバック(FB)として全4試合に先発フル出場。21年に現役引退した[撮影/蜷川実花 hair & make up 赤間直幸(Koa Hole) styling 久保コウヘイ costume ポロ ラルフローレン]
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 ラグビー引退後は古巣の後身クラブで運営に携わっている五郎丸歩さん。ラグビー界の未来を見据えた活動を続けている。AERA 2023年9月18日号の記事より。

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 ラグビー日本代表ではメンバーの人種、国籍にも「多様性」が帯びる。一定の条件を満たせば出生国以外でも代表を目指せるラグビーのルールは、五郎丸歩の発信を機にこの国でも前向きに捉えられ始めた。

〈ラグビーが注目されてる今だからこそ日本代表にいる外国人選手にもスポットを。彼らは母国の代表より日本を選び日本のために戦っている最高の仲間だ。国籍は違うが日本を背負っている。これがラグビーだ〉(原文ママ)

 2015年9月19日。「X」と名が変わる前の短文投稿サイトに放った。折しもイングランド大会の初戦で五郎丸が自らトライを奪い、最終局面で味方が勝ち越し、過去優勝2回(当時)の南アフリカ代表から歴史的白星を挙げた直後だった。

広がったメッセージ

 五郎丸はヤマハで社内広報に携わっており、「世の中に出すべきメッセージ、メッセージを世の中に出すタイミングを自然と整理できていた」。ツイートが広がるのは読み通りと言えた。

 もともとは自身も、日本代表に海外出身者が多いと「ネガティブ」な感情を抱きがちだった。

 しかしあの季節は、世界的名将のエディー・ジョーンズヘッドコーチのもと早朝からの3部練習のある合宿を乗り越えていた。ともに努力する仲間を、自然と尊敬できるようになった。

「ずっと自分のなかではバトっていて。別に喧嘩するわけでもないし、普段は仲がいいんですけど、外国人選手に対して日本人として負けたくないという感覚がありました。ただ12年からエディー体制でやってきて、イングランドに行く直前くらいに、そういうのがふっ、となくなりました。何があったかはわからないんですけど。だから何かを成し遂げた時、それを発しなくちゃいけないと思っていました。オリンピックが主として動くこの国にW杯が来る19年、『国籍を変えてないのに何で日本代表?』『容姿が違うのに何で日本代表?』というのをクリアしない限り、日本代表は人気にならないなと考えていました。そして、南アフリカ代表に勝って世の中がどんと動いた時に、出した……という感じです」

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