19年の自国W杯で8強入りした日本代表は、「ONE TEAM」と謳った。多国籍、多文化の選手が一枚岩になるとの意味だ。五郎丸のツイートから4年の時を経て、それは当たり前のものとして受け入れられるようになった。
意思を持って行動を
徐々に文化を紡いだ日本代表はいま、新しいW杯を迎えている。五郎丸にとってこの大会は引退後初のW杯で、開催地のフランスはオーストラリアの次にプレーした場所でもある。
当時所属のトゥーロンでは元フランス代表のマチュー・バスタロー、元ニュージーランド代表のマア・ノヌら世界的名手と知己を得て、それぞれが一家言を持っていたと回想する。
「こういう(国別で捉える)くくりが正しいかどうかわかりませんが、日本人は、監督やコーチ陣の言うことを聞き入れるじゃないですか。ところが彼らは、『俺にはこんなビジョンがある』みたいに言う。文句じゃなくて、ディスカッションです。今後は自分の意思を持ってアクションし、それに責任を持ったり、議論したりする人間が増えていかないと、ラグビー界もうまくいかないだろうなと感じます」
いまの日本代表にも、新しい地平に辿り着くのを期待する。事前合宿を訪ね、後輩たちが世界一を目指していると知った。「前回、決勝トーナメントに進んで周りを見渡した時、自分たちだけが優勝を目指していなかった」と聞き、感銘を受けた。
かといって、W杯の厳しさを軽んじてはいない。
予選プールには21時キックオフの試合がふたつもある。日本にとって不慣れな夜間帯の試合は、フランスのプロリーグで好まれる。これを経験しているのは、昨季までクレルモンにいた松島幸太朗だけだろう。昼や夕方の試合と当日の準備が異なるとあり、五郎丸は「長いっすよ、朝から。どのタイミングでご飯を食べるかなどの当日の過ごし方を、事前にシェアすべきじゃないか」と案じる。