ジャニーズ事務所が、創業者である故・ジャニー喜多川氏の性加害問題について記者会見を開いた。筆者は、ジャニーズ事務所の対応や会見の発表内容について、「最適解」から幾つかの点で外れていたと考える。大不祥事を起こした企業のトラブルシューティングの一例として、ジャニーズ事務所はどうすべきなのかを考えてみたい。(経済評論家 山崎 元)
ジャニーズ事務所の記者会見
合格点には「未達」だ
9月7日の午後、注目度では今年最大のイベントと言っていいジャニーズ事務所の記者会見が行われた。創業者の故・ジャニー喜多川氏の性加害問題が大きく取り上げられるようになってから、事務所前社長の藤島ジュリー景子氏が短時間の動画で謝罪しただけで、延ばしに延ばしてきた記者会見であった。
この間、第三者委員会による調査の発表があり、ジャニー氏の性加害が「あった」という事実認定と、ジャニーズ事務所の経営とガバナンスの状況に対する厳しい批判があり、藤島氏の社長辞任と経営の刷新を強い調子で求めていたので、事務所の対応が注目されていた。一般に、この種の調査は「第三者」とは名ばかりの立場の委員会が、依頼者である当事者寄りの見解を発表することが多いので、この委員会の結論には次の対応に期待を持たせる意外感が伴っていた。
7日の会見はこうした経緯からも大いに注目されたが、そこで発表された内容およびジャニーズ事務所の対応は、「あるべき最適解」から幾つかの点で外れていたと筆者は考える。総合的には合格点に未達だろう。
以下、大きな不祥事を起こした企業のトラブルシューティングの一例として考えてみたい。