また、青木氏は早稲田大学の同窓でもある森喜朗元首相、岸田首相とも親しいことから、「森さんにも、岸田首相にもお願いしておかないと」とも語っていた。

 一方、小渕氏が所属する茂木派内の反応はどうか。茂木敏允幹事長も続投という方針で、党4役のうち茂木派が2役を占める。このことは「喜ばしい」としながらも、派閥の未来を懸念する声も出ている。

「茂木幹事長は、小渕氏を推していた青木先生とは不仲で『茂木はまだまだ』と常日頃、言われていた。派閥では茂木幹事長より小渕氏を将来の首相にという声もある。来年秋の自民党総裁選には、茂木幹事長も出たいはず。派閥が割れなければいいが……」(茂木派の国会議員)

 小渕氏は次期総裁選をにらんで「党役員なら幹事長、入閣なら経産相より上を」と周囲には漏らしていたという。

 岸田派の国会議員によると、やはり、今回の人事は岸田首相の総裁選に向けた布石という意味もあるようだ。茂木派の2人の有力者を党役員に据えた理由を解説する。

「来年の自民党総裁選のライバルを2人、党役員で取り込んだのは大きい。それに、森氏も小渕氏をぜひ入閣か党役員にとインタビューでもアピールしており、最大派閥の安倍派のメンツも立てたことになる。小渕氏の台頭で茂木幹事長も総裁選に手を上げにくくなったはず。岸田首相の巧みな人事だ」(岸田派の議員)

 岸田首相の“思惑”どおりになるか。(今西憲之)

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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