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 日常生活ではしっかり節約しているのに、旅行先だとお土産や、実際は使わないキーホルダーや置物など、不要なものまで買ってしまうのはなぜだろうか? マーケティング&ブランディングコンサルタントで昭和女子大学現代ビジネス研究所研究員の橋本之克さんによると、行動経済学ではこの心理を「メンタル・アカウンティング」と呼ぶ。人の心の中には、マイホーム貯金、通信費、旅行費など、いくつもの財布があり、その財布の中には「すぐに開ける財布」と「なかなか開けない財布」があるという。橋本さんの著書『ミクロ・マクロの前に 今さら聞けない行動経済学の超基本』(朝日新聞出版)から、旅行先でお土産をつい買いすぎてしまう心理の解説を抜粋して紹介する。

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 お金に関する判断において、同じ金額でも「どんな方法で入手したのか?」「何のために使うのか?」など、名目や位置づけによって、その価値の感じ方が変わることがあります。その結果、お金の使い方も変わります。

 この心理を「メンタル・アカウンティング」と呼びます。典型的な例として、ギャンブルでもうけたお金は堅実に貯金せず、散財する、といった行動があります。これも「メンタル・アカウンティング」の一つですが、特に「あぶく銭効果」とも呼ばれています。同じお金でも努力して手に入れたお金なら大切に使いますが、楽をして手に入れたお金は大切にしません。この「あぶく銭効果」は、特に注意が必要です。

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心の中には「すぐに開ける財布」「開けない財布」がある