【ヤクルト】

 リーグ連覇から一転して5位に沈んでいるヤクルト。チーム防御率はリーグ最下位で、先発、リリーフともに手薄な状況が続いている。一方の野手も山田哲人に衰えが見られ、村上宗隆も3年契約が終了する2025年オフにメジャー移籍が噂されるだけに将来への備えも必要になってくる。2017年のドラフトでは当時も投手陣が苦しかったにもかかわらず、清宮幸太郎(早稲田実→日本ハム)に1位入札し、外れ1位で村上を獲得して結果として大成功だっただけに、その経験からも野手をまず狙うべきという声も少なくない。

 ただチーム事情を考えると野手は長岡秀樹、武岡龍世、濱田太貴、内山壮真など高校卒の若手が一軍の戦力となり、ルーキーの沢井廉、北村恵吾も順調なスタートを切ったことを考えると、やはり最優先は投手が良いのではないだろうか。ヤクルトの投手陣と言えば故障が多いだけに、怪我のない選手を重視したい。候補はDeNA、巨人でも挙げた大学生投手になるが、その中でも細野、西舘の2人はアクシデント以外での故障がなく、下級生の頃から投げ続けてきたタフさがあるだけに筆頭候補となりそうだ。もし高校生ならば東松も体作りが進んでいるだけに面白い存在となるだろう。

【中日】

 3年連続のBクラスが決まり、最下位に沈んでいる中日。長打力不足にフォーカスされることが多いが投手陣の高齢化も大きな課題となっている。二軍の投手陣は壊滅的な状況で、二軍で結果を残している若手はルーキーの仲地礼亜くらいしか見当たらない状況だ。一昨年、昨年ともに野手の指名が多かったことを考えるとまずは投手というのが既定路線になりそうだが、ここまで低迷が続いていることを考えると、チームを大きく変えられるようなスター性のある選手を狙うというのも必要だろう。

 そうなるとやはり筆頭は佐々木になるのではないだろうか。バンテリンドームナゴヤにホームランテラスを設置しない方針となれば、ホームランを量産するには中途半端な強打者ではなく本物のスラッガーが必要だ。また佐々木はプレー以外の面でも投手に常に声をかけ続けるなど、チームを鼓舞する姿勢も素晴らしいものがある。あらゆる面を度外視して佐々木を獲得し、チーム再建の中心に据えるという思い切ったやり方も見てみたい。(文・西尾典文)

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

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