古賀茂明氏
古賀茂明氏
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 安倍晋三元総理最大の「功績」は、日本の岩盤右翼層をがっちりと固めたことだ。強烈な反日思想を持つ旧統一教会(世界平和統一家庭連合)と、これとは全く相容れない国粋主義的思想を持つ日本の右翼層をともに自民党保守派を支持する層としてまとめるという、普通では考えられないことをやってのけた。その遺産を受け継いだのが自民党安倍派である。

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 彼ら岩盤右翼層は、数としては大きくなくとも、選挙の投票率が下がる傾向が続く中、自民党の得票の中では重要な地位を占める。そのため、岸田文雄首相のみならず、親安倍・反安倍に関わらず、ほとんどの自民党議員、とりわけ総裁を狙う者にとって、この「安倍派的」岩盤右翼層の支持を得ることが至上命題になってしまった。

 私は、これを「妖怪に支配された自民党」と呼んでいる。“昭和の妖怪”と呼ばれた岸信介元総理。その孫が安倍元総理だから、彼は“妖怪の孫”だ。そして“妖怪の孫”亡き後もなお、得体のしれない安倍的なものが政界に漂っている。妖怪だけに、簡単には滅びず今もなお、その妖術で自民党を操っているのだ。

 支配されているのは自民党だけではない。大手メディアも安倍政権時代に、安倍氏に支配され、忖度宣伝機関に堕していたが、今もそこから抜け出せない。特にテレビ局のスタッフたちに聞くと、今も局幹部には過剰な安倍派忖度があると聞く。

 とりわけ、安倍派の中でもマスコミ支配に熱心だった萩生田光一自民党政調会長を恐れて「忖度」しているという。旧統一教会問題の報道でも萩生田氏への厳しい追及があるべきなのに、実際にはほとんどスルーされたままであるのもその影響だろう。全てが圧力というわけではなく、局側が勝手に忖度している側面もあるようだ。

 忖度という行動パターンが何年も続いた結果、記者たちの問題認識能力自体が退化してしまったことも深刻な事態だ。面倒なことを避けるうちに、公開情報に含まれる重大な問題にも気づくことすらできなくなっている。

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弱くなった市民の抗議活動