セ・リーグの最下位に低迷している中日を必死に支える3投手、柳裕也、高橋宏斗、小笠原慎之介。
打線の援護がある球団に在籍していれば、既に2ケタ勝利を挙げていてもおかしくない投球を披露しているが、いずれの投手も黒星が先行している。中日だけではなく、他球団のファンからも“気の毒”という声もあがっているが、オフの年俸更改などで彼らが“報われる”ことはあるのだろうか。また、フリーエージェント(FA)などを含め、将来的にチームを去ってしまうのではないかという懸念もある。
シーズン終盤に入っても中日に浮上の兆しは見えず、球団初となる2年連続最下位の危機に瀕している。9月6日終了時点の借金は球団ワーストの31に迫る27まで積み重なり、先の見えない戦いが続いてしまっている。
「選手層を見ればここまで低迷するチームではない。NPB歴代9位の29試合連続安打を放った岡林勇希、クリーンアップを任される石川昂弥、細川成也など野手では期待の選手が出始めた。投手陣も大野雄大の離脱はあったが、柳、小笠原、高橋などの先発陣、そしてブルペン陣を含めレベルは高い。立浪和義監督への逆風が吹くのも理解できる」(在京球団編成担当)
ミスタードラゴンズ・立浪監督は長い待望論の末に誕生、大きな注目が集まった。しかし、ぬるま湯に浸かったチーム再建に苦労するとともに指導者としての経験不足も露呈している。期待度が高かっただけにファン、関係者の失望は計り知れない。
とにかく、勝てない理由は打てないこと。今季チームの総得点(338)はリーグ5位の広島(443)に大きく離されての最下位。投手が好投しても援護ができずに負けるという状況が目立つ。
「(打線の援護がない中で)柳、小笠原、高橋の3投手は本当に頑張っている。彼らがいなければ借金はもっと大きくなった。メジャー志向や今後に取得予定のFA権の問題もあるが、球団として誠心誠意の交渉をして何とかチームでプレーし続けて欲しい」(中日OB)
投手が頑張っても勝てないというのが顕著だった試合が8月13日の広島戦(バンテリンドーム)。柳は9回まで無安打無失点と圧巻の投球を見せたが、打線が沈黙して偉業達成はならず。チームは延長10回にサヨナラ勝利を収めたが、柳には白星さえつかなかった。
今季はここまで21試合に先発して防御率2.57(リーグ7位)だが、4勝9敗と大きく負け越している。