公開中の映画「春に散る」に出演する横浜流星さんがAERAに登場。幼い頃から熱中してきた極真空手を通じ、上を目指す姿勢が育まれたという。AERA 2023年9月11日号より。
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AERAの表紙に初めて登場したのが2019年5月。ドラマ「初めて恋をした日に読む話」への出演を経て、その名が広く世に知られるようになった頃だった。「反響の度合いがそれまでとは違った」と自身も振り返る、ターニングポイントとなった作品だ。
それから4年。真っすぐにカメラを見つめる横浜流星には風格が漂い、放たれる言葉や表情からは、人間としての厚みを感じる。初々しさの残るかつての表紙と見比べると、とても同じ人物とは思えない。横浜本人も言う。
「こうして写真を見ると、自分のなかでの月日を感じます」
どんな役も本気で挑み、懸命に向き合ってきた。なかでも、一度は夢を諦めたプロボクサーを演じた映画「春に散る」(公開中)での“本気度”は、ただひたすらに観る者の度肝を抜く。追い求めたのは「今まで観たことのないようなボクシングシーン」。クランクインの8カ月前からジムに通い、練習を重ねた。
いまにも倒れそうになりながら、目を見開き、リングに立ち続ける姿を目の当たりにすると、「自分に言い訳をしていないか」「楽して生きようとしていないか」と問われている気さえしてくる。
「“本物”なんだぞ」。そんな思いを通して作品を盛り上げたいと、6月にはボクシングのプロテストを受け、C級ライセンスを取得した。映画の撮影は終了し、舞台「巌流島」で主演の宮本武蔵を演じながらも、練習を続けていたのだ。
「舞台に出演している間も、週3、4回ペースでボクシングの練習をしていたんです。リフレッシュにもなるし、身体を動かすっていいですよ。汗をかくと、心も身体も元気になります」
ストイックなのに、どこか柔らかい。強い心としなやかな精神を併せ持つ、稀有な俳優だ(ライター・古谷ゆう子)
※AERA 2023年9月11日号