たびたび著名人の不倫がスクープされ、世間がにぎわう日本。しかし、欧米で不倫が糾弾されることは少ないという。その背景にある結婚に対する認識の違いを、家族社会学者である山田昌弘氏の著書『結婚不要社会』(朝日新書)から一部を抜粋、再編集し紹介する。
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欧米と日本の違い
欧米では、経済生活は原則「自立」です。男女とも経済的に自立して他人には頼らない。西ヨーロッパ諸国では、その自立を社会保障で政府が支えるのです。だから結婚後も、家計は原則的に夫と妻は分離しています。日本で一般的な夫が妻に稼いだお金を全部渡すというのは、あり得ないことなのです。
日本人の女性は、当然のように「結婚したら、夫のお金は私のお金として管理できるはずだ」と思っていますが、欧米では男性も女性も、そういうことはあり得ないと思っています。妻も自分で稼ぐか、夫が自分の稼ぎから自分のこづかいを差し引いて、残った一定の額を生活費として渡すというのが当たり前なのです。
アメリカのロサンゼルスに日本人とアメリカ人の出会いを斡旋している業者は、アメリカ人男性と結婚した日本人女性が驚く典型的な例として、この家計の分離を挙げていました。事前にそうした説明をしても、トラブルは絶えないそうです。