中国・上海の恒大センター(写真:アフロ)
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 恒大集団が米国で破産申請するなど、中国の不動産危機が深刻化している。世界は、中国発の世界不況に怯える日が続く。AERA 2023年9月4日号より。

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 中国はかねてから、「後発」のメリットを活かして、諸外国の失敗例から学ぶことを得意としてきた。

 社会主義国家の崩壊においては、旧ソ連の実例から絶対に一党独裁を手放してはいけないと考え、政治や報道の「自由化」を頑なに拒む姿勢を貫いてきた。

 経済の反面教師は日本だ。日本のバブル崩壊は官製不況と呼ばれ、旧大蔵省の総量規制による急ブレーキが原因とされた。日本をモデルケースに、過熱した経済を急激に冷やさないようソフトランディングの出口戦略を最も熱心に研究してきたのが中国だった。

 ところが習近平体制になって、この「日本の失敗に学べ」の原則が揺らぐことになる。そこには、政権の優先順位の変更が関わっている。

 習近平は何事にも「安全」を常に気にする指導者だ。安全は安定と言い換えてもいい。中国にとって「安全」にかかわる主要な問題は「国家安全」「社会安全」「経済安全」の三つ。鄧小平登場後の中国は、改革開放を掲げて、「経済安全」、つまり、安定的な経済成長を最優先に考えた。のちの江沢民は朱鎔基、胡錦濤は温家宝という経済に強いNo.2に任せ、経済官僚を指揮させた。「経済安全」が「社会安全」につながり、最後に「国家安全」につながる、という暗黙の了解が存在したのだ。

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