107年ぶりの優勝を決め、マウンドで喜びを爆発させる慶応ナイン。チームで最も小柄な主将の大村昊澄(中央)を中心に輪ができた(撮影/加藤夏子)

 猛暑の中での開催となった第105回全国高校野球選手権記念大会。連日の熱戦の末、神奈川代表の慶応義塾高校の優勝で幕を閉じた。AERA2023年9月4日号より。

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 第105回全国高校野球選手権記念大会は、慶応(神奈川)が夏連覇を狙った仙台育英(宮城)を8対2で破り、1916年の第2回大会以来107年ぶりの優勝。49代表校が熱く戦った、18日間の激闘の夏が終わった。

 決勝は開始直後に動いた。慶応の1番・丸田湊斗が先頭打者本塁打を放って主導権を握ると、一度もリードを許すことなく、鈴木佳門、小宅雅己の継投で仙台育英を2点に抑え込んだ。

慶応の1番・丸田湊斗が先頭打者本塁打。「応援を勢いづけるために出塁しか考えていなかった」。思惑通り、応援の熱気は最高潮に(撮影/写真映像部・東川哲也)

 慶応のアルプス席は毎試合、隙間なく埋まり、その存在感は圧倒的だった。決勝当日は試合開始の2時間以上前から球場周辺は混雑し、「KEIO」と入ったTシャツ姿の人たちが老若男女問わず目立った。丸田が「僕らには大応援がついている」と話すように、打者9人で5得点を挙げた五回にはアルプス席だけでなく、三塁席、左翼席の観客までもが立ち上がって応援。相手チームのタイムや伝令時には音量を下げて応援の流れを途切れさせないなど、自由自在な演奏も印象的だった。

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秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

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