だいたい甲子園なんて所はだな……野球以外なんの興味も取り柄もない、無闇に真っ黒に日焼けした、水も飲まずうさぎ跳びしたりトンボがけしたり、理不尽な空気椅子をさせられることによって、酷暑に耐性のあるサイボーグみたいな身体に仕立て上げられた、基本「バッチコイ」と「ウッス」と「ピッチャービビってる! ヘイヘイヘイ!」だけで会話が成立する、本といえば水島新司系とコロタン文庫の野球全百科系しか読んだことのない、部活の後に学校の近所の駄菓子屋でガリガリ君を3本一気食いしてお腹壊したり、日曜日にはシェーキーズの食べ放題のピザやパスタを「美味い美味い!」といって食べ尽くしてお腹壊したり、粉から作るゲータレードをゴクゴク飲んで底に溜まった溶けてない粉を指ですくって「うめうめ」と舐めとったり、そんなイガグリ頭の高校生が、やたら泣きながら校歌をがなったり、やたら泣きながらその土をかき集めて持って帰るのを楽しみに目指す、灼熱かちわり地獄スタジアムなのです。そう、それが甲子園。
末にはみんなことごとく全て全員ひとり残らず加山雄三みたいな将来が約束されているはずの慶應ボーイが、サーフィンしたりスキーしたりエレキギター弾いたりするはずの慶應ボーイが、炎天下で玉っころ投げたり、叩いたりして「美白王子」なんてもてはやされてるのが納得いかん! そのうちに『タイブレークの若大将』や『クーリングタイムの若大将』なんて映画が出来ちゃうね。でも可愛すぎ、丸田くん。