春風亭一之輔・落語家
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 落語家・春風亭一之輔さんが連載中のコラム「ああ、それ私よく知ってます。」。今回のお題は「夏の終わり」。

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 今年の夏の暑さのせいか、去年植え替えてもらったばかりのベランダの植栽が枯れてしまった。「この子(樹木)は暑さに弱いですから水を欠かさずお願いしますね〜」と、丁寧にご教示頂いた植木屋さんに合わせる顔がない。あぁどうしよう。

 小学1年の頃。学校に真新しい椅子がやってきたその日に座面を油性ペンで汚してしまい、それを先生に見つからないように、座る時はいつもその箇所にお尻を付けて、1年間隠し通して過ごしたことを思い出す。「あの子」のことは植木屋さんには知られたくない。怒るかな、植木屋さん。怒らないまでもきっと哀しい目をするだろな。早く涼しくなってもらいたいが、秋がくるのがちょっと憂うつ。そんな夏の終わり。

 甲子園が佳境。今、これを書いてるのが8月21日、さっき準決勝が終わった。慶應高校快進撃。慶應はずーっと長髪可だったらしいのに、勝ち進んだおかげで高校球児の髪形問題がまたまた取り沙汰されている。勉強が出来て、野球が強くて、長い髪……ヤング老害の私としては、どうもいけすかない。気にいらんよ! 喝だっ、喝ーっ!!

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春風亭一之輔

春風亭一之輔

春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/落語家。1978年、千葉県生まれ。得意ネタは初天神、粗忽の釘、笠碁、欠伸指南など。趣味は程をわきまえた飲酒、映画・芝居鑑賞、徒歩による散策、喫茶店めぐり、洗濯。この連載をまとめたエッセー集『いちのすけのまくら』『まくらが来りて笛を吹く』『まくらの森の満開の下』(朝日新聞出版)が絶賛発売中。ぜひ!

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