天皇や皇族が公衆の場で贈り物を受け取ることが常態化すれば、爆発物や毒物を紛れ込ませるなど、テロにつながる危険も出てくる。

 世間がすべて善意の人ばかりではない。つい先日も、「宮内庁関係者」を自称する男が、皇室に献上すると持ちかけて福島市内の農家から桃をだまし取ろうとした詐欺容疑で逮捕されたばかり。

 たとえば自分の著書やアート作品、自社の製品などを「贈り物」として天皇や皇族に手渡した人が、「これは皇室への献上品です」と宣伝に利用する恐れもある、と山下さんは警鐘を鳴らす。もちろん、今回カレンダーを手渡した人にはそういった意図はないだろう。
 

お返しするのは側近の役目

 一方で、こうした皇室に対する距離感を理解している人は、そう多くはないはずだ。山下さんは、こう提案する。

「一般の奉送迎者に注意喚起する必要はないとまでは言いませんが、重要なことは、宮内庁が『贈り物は受け取れません』という姿勢をはっきりと示すことです。

 今回の件でも、皇后陛下が直接受け取りを拒否するのは難しかったでしょう。こういった場面では、側近職員がいったん受け取り、ご一家がその場を離れられたのち、渡した人に事情を説明してお返しすればいいと思います」
 

 時代の移り変わりとともに、皇室をとりまく慣習もずいぶん変化した。それでも、皇室の安全を確保するために、守らねばならない「お作法」もあるようだ。 

(AERA dot.編集部・永井貴子)

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