善意ならば問題ないのか
元宮内庁職員で皇室解説者の山下晋司さんは、
「天皇ご一家と国民との心あたたまる触れ合いの光景と捉えることはできますが、取材陣もいる公衆の場で天皇や皇族が物を受け取るのは、好ましいことではありません」
と首を横に振る。
天皇および皇族に対して、物を贈る行為は禁止されているのだろうか。皇室経済法には、一定額までであれば、天皇と皇族は国会の決議なしに財産の賜与や譲受もできるとある。もちろん、日常生活のなかでの贈り物のやりとりや物品の購入などは、その範囲ではない。
では、奉迎者らが善意から贈り物を渡しても、問題ないのだろうか。
「原則として皇室の方々は、一般の奉送迎者や行事などでお会いになった人から物を受け取ることは避けるべきです」(山下さん)
仮に贈り物を渡したいと準備する人がいても、おそらく花束など高価ではない品。動機も、純粋な善意によるものだろう。
「今回は、皇后陛下が品を受け取られた場面の映像がテレビで流れ、YouTubeにも残っています。その事実を受けて、『次は自分もなにか贈り物を用意しよう』『これを受け取ってもらいたい』と行動に移す人も出てくるでしょう」(山下さん)