ただ、ホラー業界自体は、すごく盛り上がっているんですよ。YouTubeの動画配信をきっかけに、若手をふくめ人気怪談師が次々と出てきています。呪物マニアとか、事故物件住みます芸人とか、とがった切り口で勝負するスペシャリストもいますね。ジャンルが細分化されているぶんファンの熱量は高く、それぞれのコミュニティーの中ですごく刺さるようです。
――ただ、ホラーブームというわりには、テレビではあまり取り上げられていないような……?
今、地上波からどんどんホラー番組が消えているんです。やっぱりコンプライアンスの問題が大きいですね。以前、ある番組で、「20年前に地元のお化け屋敷に肝試しに行ったんですけど」って話しはじめた途端、プロデューサーさんが入ってきて、「その話使えないです! それ不法侵入なんでクレーム入っちゃいます!」って。そういう時代なんですよ。
心霊写真にしても、合成技術が進歩したことで、偽物が大量に流通するようになりました。番組で心霊写真として紹介したあとに、万が一SNSで「あれ、俺が作ったやつ」なんて暴露されたら、大変じゃないですか。リスクが大きくて、なかなか触りづらいコンテンツになったようです。