話題のものが怪談に変換されるスピードは、とにかく速い。今は、漫画『呪術廻戦』の影響で、呪いの人形とか絵画とか、呪物ブームが来ています。怪談をチェックしていると、今何がはやっているかがわかります。ただ、最近は怪談の“質”が変わってきている印象があるんですよね。
――その“質”とは?
昔の怪談は、「口裂け女がいるらしい」「人面犬が歩いていた」みたいな、どこかかわいらしいところがありましたよね。でも今は情報社会が成熟してきて、そんなのいるわけないって、みんな信じなくなった。代わりに、「世界を支配している闇の勢力がいる」とか、「コロナ禍の裏には陰謀がある」とか、都市伝説なのか現実なのか見極めづらい、より高度でリアルな怪談が人気を集めるようになりました。フェイクニュースも大量に出回っているので、なんとなく本当っぽく見えるし、話自体も多様化しています。
――令和を象徴するホラーアイコンはいますか?
いまだに、トイレの花子さんや、「リング」シリーズの貞子に代わるスターは現れませんね。かつてはテレビやラジオが情報収集のよりどころでしたが、最近はYouTubeやTikTok、Netflixなどプラットフォームがありすぎて、誰もが知っているものが生まれにくい時代なんだと思います。