今手を振ったら、この方の顔が映っちゃうなと思ったので、しばらく待っていたんですね。そしたら携帯にスタッフさんから電話がかかってきて、「こっち準備できたんで手振って下さい」って言われたので、「でも今横に女性がいるんで……」って返したら、「え、島田さんしかいないですよ?」って。

 パッと横を見たら、女性はいなくなっていて、代わりに足元に花が添えてありました。実は、その2週間くらい前、橋から女性が転落して亡くなっていたそうです。でもあのときの僕は、携帯が鳴るまで、女性のことは完全にそこにいる人だと思っていたんですよ。そう考えると、実は今までも、気づかないうちに何人も幽霊に会っていたのかもしれないな、なんて。

(聞き手・構成/AERA dot.編集部・大谷百合絵)

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