稲盛さんの歩み

「改革開放で市場競争が広がる中、行き過ぎた成果主義や、金もうけのために手段を選ばないなど、負の面も出てきました。そんな中で、京セラの経営理念でもある『全従業員の物心両面の幸せを追求する』という世界でも例を見ない稲盛さんの思想が共感を集めた。思想家の頭で経営者としての経験を言葉にし、実践を考え、わかりやすい言葉で表現した。そこがすごいところだと思います」

 中国各地で盛和塾は存在し、現在の会員数は2万4千人を超える。曹さんは2007年に無錫盛和塾を立ち上げ、いまは中国全土の盛和塾のとりまとめ役を務める。「盛和塾は一代限り」という生前の稲盛さんの信念から、世界各地の盛和塾は19年12月をもって閉塾したが、中国だけは曹さんが稲盛さんに「直訴」したことで唯一、閉塾後も盛和塾の名を使うことが許されているという。

 曹さんはこう語る。

「これからも稲盛塾長の教えに従って実践し、輪を広げていきたいと考えています」

   (編集部・小長光哲郎)

AERA 2023年8月28日号より抜粋、一部加筆

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小長光哲郎

小長光哲郎

ライター/AERA編集部 1966年、福岡県北九州市生まれ。月刊誌などの編集者を経て、2019年よりAERA編集部

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