京セラの社是「敬天愛人」は稲盛さんのふるさとの英雄・西郷隆盛が好んだ言葉でもある(京セラ本社執務室で2013年撮影)
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京セラとKDDIを立ち上げ、日本航空(JAL)の経営再建にも尽力した稲盛和夫さんが90歳で亡くなって、8月24日で1年になる。

【年表】中国でも圧倒的人気を誇る、稲盛和夫の人生

 生前、稲盛さんは数多くの著書を残している。

 稲盛さんの人生哲学や、経営哲学である京セラフィロソフィを学び、継承することを目的に2013年に京セラが開設した「稲盛ライブラリー」(京都市伏見区)によると、1989年に初めての著書『心を高める、経営を伸ばす』を出して以来、稲盛さんが著した書籍は73冊(自著55冊、共著18冊)に及び、計19言語に翻訳されている。

 全世界の累計発行部数は2015年に1千万部、20年10月末に1500万部を超え、今年3月末には2500万部を突破した。

 昨年8月に逝去して以降、稲盛さんの考え方や功績に対する関心の高まりから、国内外を問わず読者層が広がっているという。発行部数の内訳は国内29%、海外71%で、稲盛哲学に対する海外での関心の高さが表れている。翻訳版も増え続け、韓国やベトナムなどでも発行部数が伸びている。

稲盛さんの著作の累計発行部数トップテン

 海外で累計発行部数がもっとも多いのは『生き方』(04年)の約600万部、2番目に多い『働き方』(09年)もすでに200万部を超えている(今年7月末時点)。

 とりわけ反響が大きいのが中国だ。海外での発行部数の約9割を中国が占めるという。なぜ中国で、稲盛さんの哲学がこれほどに支持され続けているのだろうか。

「稲盛和夫(北京)管理顧問有限公司」の董事長で、稲盛本の中国語版の翻訳や編集を28冊手がけた曹岫雲さん(77)は、その理由を次のように説明する。

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小長光哲郎

小長光哲郎

ライター/AERA編集部 1966年、福岡県北九州市生まれ。月刊誌などの編集者を経て、2019年よりAERA編集部

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