厳しい寒のもどりに震えながら都心を歩けば、それでも歩道脇のアスファルトから伸びる緑濃い草を見つけて足がとまる。桜に負けじと春を告げるその植物の名が何だったのか考えても思いだせず、植物好きの私はちょっと悔しい気分をひきずってまた歩きだす。 塚谷裕一『スキマの植物の世界』は、昨年刊行されて話題となった『スキマの植物図鑑』の続編だ。都会の隙間で見つけられる草木の名を知るためなら前作の方が便利かもし…

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