慶応・丸田湊斗(写真映像部・東川哲也)

 台風一過の第105回全国高校野球選手権記念大会は、8月17日の第11日目を終えてベスト8が出揃った。進出したのは、準々決勝の試合順に沖縄尚学(沖縄)、慶応(神奈川)、土浦日大(茨城)、八戸学院光星(青森)、神村学園(鹿児島)おかやま山陽(岡山)、仙台育英(宮城)、花巻東(岩手)。地区別の内訳は、東北が史上初の3校、関東が2校、中国1校、九州2校となった。果たして深紅の優勝旗に最も近い高校はどこか。

【写真】今大会の注目選手はこちら

 優勝の本命は、昨夏王者の仙台育英(宮城)だろう。大会前から優勝候補の筆頭だったチームは、1回戦で浦和学院(埼玉)に19対9で打ち勝つと、2回戦では聖光学院(福島)を8対2と一蹴。さらに3回戦では履正社(大阪)を接戦の末に4対3で勝利。“死のブロック”を力強く勝ち抜いたことで、さらに評価を上げた。

 今大会3試合で30得点15失点。本塁打も計3本と打線が活発な中、履正社戦での決勝点をスクイズで奪うなど攻撃のバリエーションが多い。特に1番の橋本航河が打率.667(12打数8安打)と好調なのが心強い。「140キロカルテット」や「150キロトリオ」と謳われる投手陣の中では、全3試合(うち2試合は先発)に登板している湯田統真(3年)、高橋煌稀(3年)の2人がともに防御率4点台だが、これは強打のチームと戦ってきた証だ。今後、日程がタイトになって疲労が蓄積するほど、投手陣の層の厚さがアドバンテージになる。駒大苫小牧以来、史上7校目の夏連覇の可能性は、大会前よりも高くなっている。

 対抗は、花巻東(岩手)か。新チームとなってから秋、春、夏と岩手県を3季連続で制した“勝負強さ”を甲子園でも見せつけ、1回戦で宇部鴻城(山口)を4対1、2回戦でクラーク国際(北北海道)を2対1で下すと、3回戦では春の近畿王者・智弁学園(奈良)に5対2で勝利。投打のまとまりを非常に感じる勝ち上がりを見せた。

 高校通算140発の“怪物” 佐々木麟太郎(3年)は、故障と不振が伝えられた中でノーアーチが続くが、それでも3試合で打率.500(12打数6安打)をマーク。背番号1の4番・北條慎治(3年)が打率.545(11打数6安打)と好調で、5番の千葉柚樹(3年)は智弁学園戦で2塁打2本の4安打で3打点。このクリーンアップが強みになる。投手陣はタイプの異なる4投手が揃っており、県大会5試合で失策1、甲子園の3試合でも失策1の堅守も強み。仙台育英を倒す力は十分にある。

次のページ
仙台育英、花巻東に続く学校は…