3番手は慶応(神奈川)になるだろう。激戦区・神奈川を勝ち抜いた実力は本物で、甲子園では2回戦から登場して北陸(福井)を9対4で下すと、続く3回戦では仙台育英に並ぶ優勝候補として挙げられていた広陵(広島)を延長10回タイブレークの末に6対3で勝利し、2008年以来15年ぶりの夏8強入りを果たした。

 強みは、やはり東海大相模、横浜を打ち崩した強力打線になる。県大会で打率.625をマークした1番の丸田湊斗(3年)は甲子園でも2安打ずつの4安打を放って打率5割(8打数4安打)と好調を維持し、3盗塁と自慢の俊足も見せつけながらリードオフマンとして機能。3番・渡辺千之亮(3年)は打率.222(9打数2安打)とまだ静かだが、5番の延末藍太(3年)が広陵戦で5打点と勝負強さを発揮した。投手陣は小宅雅己(2年)が主戦で2試合13イニングを防御率1.38としっかりと試合を作っている。髪型を含めて選手の自主性を重んじた「エンジョイ・ベースボール」に称賛が集まっており、107年ぶりの全国制覇へ向けた“追い風”になっている。

 3番手と限りなく近い4番手が、沖縄尚学(沖縄)だ。今春のセンバツ大会でベスト16に進出したチームは今夏、隙のない戦いぶりを披露し、初戦となった2回戦でいなべ総合(三重)を3対0で下すと、続く3回戦では創成館(長崎)に5対1の快勝。危なげなく勝ち上がった印象だ。

 何よりの強みが、エース右腕の東恩納蒼(3年)だ。沖縄県大会5試合で3完封をマークするなど計31回1/3を無失点に抑えた“ミスターゼロ”は、甲子園でもいなべ総合に完封勝利を飾ると、創成館相手に8回に今夏初失点も9回1失点の完投勝利を収めた。投球センス抜群で高い完成度を誇り、勝負どころでギアを上げられる点は大きな魅力だ。打線は「9番・捕手」の大城和平(3年)が打率.500(6打数3安打)で4打点をマークするなど、下位打線が好調。懸念は東恩納の疲労だが、甲子園では中4日で投げ、準々決勝は中2日で臨む。準決勝以降も中1日の日程で2日続けて連投の予定はない。

次のページ 他の高校にもチャンスあり?