勝利の瞬間、日大山形ナインは喜びを爆発させた

 いざ対戦してみると、自分たちが成長していることを実感した。

「チームのレベルを自分たちだけではなかなか測れません。そこへ強敵と再戦してみて、俺たちも成長しているんだなぁって感じました。もちろん楽勝なんて考えられないけれど、そこそこ勝負になるかもしれない。そんな感じでした」

 この日は庄司の好投も光った。初回で143キロを記録し、自己最速の141キロをいきなり更新した。

「そうでしたか、とにかく必死でした。全員が4番打者のつもりで警戒しながら投げていました。あと四球が多かったんです(7四球)。この日は腕が振れている証しだと開き直っていました。適度に荒れたから相手が絞りきれなかったのかも。バックの堅守(無失策)も大きかったです」

 最後の打者を三塁フライに打ち取るとマウンド上でガッツポーズ。

「思いを発散したものなんでしょうかね。甲子園で優勝したっていうぐらいのガッツポーズを無意識でやってしまいました(笑)」

 山形勢7年ぶりの初戦突破。ここで勢いをつけ、3回戦で作新学院、準々決勝は明徳義塾と、甲子園優勝経験校を連破して県勢最高成績となる4強入りを果たした。

「熱い夏でした。新チームを結成して山形勢初の甲子園4強を目指そうとみんなで誓って、その目標を達成できた。あの夏の経験で自分に自信を持つことができました」

 庄司は現在、山形県内で石油製品販売やガソリンスタンド運営などを手がけるヤマリョーに勤務。社業の傍ら社内の軟式野球部に所属。あれから体重は10キロ増えたが球速143キロは健在。一昨年は全国大会にも出場して野球への情熱も旺盛だ。

日大山形   200 000 500 7

日 大 三  100 000 000 1

(内山賢一)

※AERA増刊「甲子園2023」から

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