「まるで罪人のような気持ちになりました。しかし、それは当然のことだった。そうすることが、沖縄に多くの犠牲を強いてきた政府の責任でもあるんです」

 97年に橋本龍太郎内閣は、軍用地主が拒んだとしても、結果的に軍用地としての土地利用を可能とする駐留軍用地特別措置法を改正したが、そのときの改正案の特別委員長を務めたのが野中さんだった。

 だが、衆議院の委員会報告で野中さんは次のように述べている。

「この法律がこれから沖縄県民の上に軍靴で踏みにじるような、そんな結果にならないことを、そして、私たちのような古い苦しい時代を生きてきた人間は、再び国会の審議が、どうぞ大政翼賛会のような形にならないように若い皆さんにお願いをしたい」

 異例の「警告」だった。

 そのときのことを、私の取材で野中氏はこう振り返った。

「こんなに簡単に決まってしまってよいのかという思いがあった。私自身、怖くなったのかもしれない」

 野中さんも「怖い」という感覚を持っていたのだ。

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