2019年に「闇営業騒動」が起きた際、吉本芸人たちはそれぞれの考えで動き、いろんな意見を述べていたが、淳がとった行動もファンを驚かせた。民放バラエティ制作スタッフは言う。

「相方である田村亮さんが謹慎に追い込まれた際、淳さんは自ら芸能事務所を設立して相方を“所属タレント”にし、結果的に地上波に復帰させるというウルトラCをやってのけた。よくよく考えたらこれはすごいこと。昨年、ガーシーがYouTubeで大暴れしていたときもベストなタイミングでコラボしてガーシーブームの波をしっかり乗りこなしたのも、淳さんだからこそできたような気がします。赤裸々に情報を発信しすぎて、ときに炎上することもありますが、反論するときも理路整然としていて、鎮火のさせ方も非常にうまい。若くして培った“素人いじり”という芸を、このSNS全盛期にしっかり発揮できているのがさすがだと思います」

「出資発言」にザワついたテレビ業界

 一方で「タレントの枠を逸脱した言動が多いため、起用することにリスクがあることもある」と指摘するのは、民放キー局の現役社員だ。

「7月に『ワイドナショー』で電動キックボードのニュースについて取り上げた際、『僕は(電動キックボードシェアリングサービスの)LUUPに出資してる』と明かしたり、かまいたちの番組で自分が出資している店をロケ先として指定したりするなど、出資者としての発言が目立ちます。もちろん、出資自体は問題ないのですが、スポンサーがいて成立している番組でそのような発言をされるとピリつくことも結構あります。特に淳さんのような大御所が公共の電波で自ら出資する企業の商品や店舗を褒めることに、快く思わない局員も一部にはいます。つまり、『スタートアップを応援したい』という淳さんのまっすぐな気持ちをバラエティに落とし込む際に、どうしても温度差が出てしまう。すでにタレントとしては熟れ切っているので、本人は今さらテレビで活躍の場を広げたいという思いもないとは思うのですが、出資者としての側面が彼を『テレビでは使いづらい』と思わせているフシはあると思います」

 テレビ界の心配をよそに田村淳は今後も我が道を行くのか。お笑い評論家のラリー遠田氏は彼についてこう述べる。

「淳さんは、若手の頃からお笑い界の常識にとらわれない型破りな言動で人気を博していて、最近の若いYouTuberなどのインフルエンサーの先駆けのような存在でした。好奇心の赴くままに行動して、常識やルールに縛られない姿勢は昔も今も変わっていません。テレビの影響力が落ちて、従来通りのやり方で芸能人が人気を保つのが難しくなっている時代だからこそ、肩書にとらわれずに自由な発想で多方面な活動を続ける淳さんの存在感が際立って見えるのでしょう」

 彼こそが芸人の中の芸人なのかもしれない。(藤原三星)

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