日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は「夏の体調不良」について、NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。
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とても暑い日が続いていますね。今年の7月は、毎日のように地球の年間平均気温の記録が更新され、7月1日から19日の期間で、なんと17日間も40年以上の地球規模の観測の中で、最も暑かったことが報告されています。
日本の7月の平均気温も、近代的な観測が始まってからの125年間で最も高かったことが、気象庁のデータから 明らかになっています。先月の中旬のことです。「日本もとても暑くなってきました……。身体がまだ暑さに慣れていないせいか、外に出るとぐったりしてしまいます」という連絡が、大阪在住の知人の男性からありました。普段からジムで体力維持に励んでおり、体力には自信のある彼でさえ、ぐったりしてしまう暑さなのかと、驚いてしまったことを覚えています。
アメリカでも、熱波 がカリフォルニアの内陸部から南フロリダまで広がるように続いています。特に、先月末は「危険な暑さ」にあるとして、ニュース番組の天気予報で、連日警戒が呼びかけられるほどでした。
私が滞在しているサンディエゴの沿岸部は、例年よりも暑い夏になっているといえども、最高気温が26度から30度と、めったに30度を超えることはありません。しかし、少し山側へ行くと、どんどん気温が上がります。沿岸部と10度以上の気温差があることもよくあります。
初めは、海側よりも山のほうが、気温が高いということが不思議でならなかったのですが、カリフォルニア州の気候が、緯度、標高および海岸からの距離によって砂漠気候から亜寒帯気候まで様々であること、そして日本の気候とは全く違うことを体感することで、「そうなんだ」と納得することがようやくできるようになりました。