夢洲の万博予定地

 工事の遅れなどで2025年4月からの開催が不安視される大阪・関西万博。一番の見どころでもある各国・地域のオリジナルのパビリオンだが、大阪府の吉村洋文知事は開幕に間に合わない可能性を危惧し、プレハブの“建て売り案”を検討していると会見で述べた。維新にとっても万博は看板政策なだけに、議員は「何がなんでも成功を!」と鼻息が荒い。果たしてどんなパビリオンに?

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 万博の目玉である海外のパビリオンについては、56カ国・地域が、独自に設計・建設するタイプAという形で出展することを表明している。だが、基本設計書を大阪市に提出したのが7月末の時点で韓国のみ、という厳しい状況だ。

 そうしたなか、吉村知事は7月31日に日本国際博覧会協会(万博協会)の石毛博行事務総長と面会。その後の記者会見で、プレハブ案が出ているという質問にこう答えた。

「プレハブが正しいのかわかりませんが、どうしても時期をみていったときに、他のやり方も必要なのではという協議はしました」

 開催を延期する考えはなく、その前提で考えた場合にプレハブ案も検討すべきだとの考えだ。

 ただ、タイプAは本来、各国のオリジナリティー、独創性が一番の見どころとなる。プレハブ案ではどのパビリオンも似たデザインとなり、魅力に欠けることが懸念される。

「“トンカチ”に時間がかかる」と吉村知事

 その点について吉村知事は、

「タイプAにこだわって(開幕に)間に合わずに撤退となったら、そこが空き地やテントみたいなパビリオンになる」

 と危機感をにじませ、

「撤退となるくらいであれば、軀体(くたい)がある程度、統一的なものだとしても、外観をうまく整備していくとか、いろんな知恵、工夫というのはあり得ると思う」

 などと述べた。そして、

「実際のトンカチ(工事)を考えたときに時間がかかるわけです。設計、資材の準備、建設があって、内装、展示と逆算していったらトンカチ期間というのはある程度、見えてきますので」

 として検討が必要な時期であるとの認識を示した。

万博について記者団から質問を受ける大阪府の吉村洋文知事。日本国際博覧会協会の副会長も務める
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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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人気だったドバイ万博での「日本館」パビリオン