朝倉未来
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 ショッキングな敗戦だった。

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 RIZINフェザー級タイトルマッチとなる「超RIZIN.2」のメインイベントが7月30日にさいたまスーパーアリーナで開催され、朝倉未来がヴガール・ケラモフ(アゼルバイジャン)に1ラウンド一本負けを喫した。

 朝倉ファンの観客が多く詰めかけた会場がざわついた。開始当初は、互いに距離を詰めずに探り合っていたが、ケラモフが片足タックルに入ると右のパンチを2発当ててテイクダウンに。マウントを奪うと何度もヒジを振り下ろす。朝倉は逃げようとするが、ケラモフは背後からチョークスリーパーを極める。朝倉は顔を真っ赤にして耐えていたが限界に。タップして試合が決した。力の差を感じさせられる完敗だった。

 「朝倉の誤算はテイクダウンの場面でしょう。パンチを打たれた際、朝倉の右足がケラモフのパンツに引っかかってバランスを崩す形になり、テイクダウンを許した。ただ、もし違った展開になってもケラモフが勝っていたでしょう。フィジカルを生かした組み技は圧倒的に強いし、朝倉の得意な打撃系でも渡り合えたと思います。番狂わせでも何でもなく、手厳しい言い方をすれば順当な結果だった」(格闘技雑誌の編集者)

 屈辱的な敗戦で思い出されるのは、2021年6月の大会だ。クレベル・コイケ(ブラジル)に三角絞めで失神一本負け。しかし、ここからはい上がった。萩原京平、斎藤裕、牛久絢太郎にいずれも判定で3連勝を飾ると、今年6月に前王者クレベルが計量オーバーから王座はく奪となり、ケラモフ戦が王座決定戦に。だが、待ち受けていたのは厳しい現実だった。

 総合格闘技の関係者は、朝倉の敗因についてこう指摘する。

 「日本ならトップレベルの格闘家であることは間違いないが、世界との差は開いている。練習環境の違いが一因にあると思います。クレベル、ケラモフは組み技のスペシャリストたちと連日ハイレベルな練習に打ち込んで鍛え上げている。朝倉は日本で活動していますが、練習環境に限界がある。海外に拠点を置いて活動していたら、自分より組み技が強い選手がゴロゴロいるしモチベーションが上がる。世界のトップレベルを狙える素材なのでもったいないなとは感じます」

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ここまでファンもアンチも多い存在はいない