「絶好の機会の場であるインドにおいて、メディアネットワーク事業のポジションをさらに強固にすることで、感動を広げ、ソニーグループの成長にもつなげていきたい」
今からファン増やす
インドの国民的スポーツといえばクリケット。だが近年は、様々なスポーツが普及している。中でも盛り上がりを見せるのが、国際大会でもインド選手が台頭しつつあるバドミントンだ。スポーツ用品メーカーのヨネックスは16年にインド製造子会社を設立。翌17年からは現地でのバドミントンラケットの製造も開始した。インドでの今後の展開について同社の廣川亘常務取締役海外営業本部長は言う。
「今後もバドミントンの競技人口の増加が見込まれる中、インドのトップ選手の多くが当社のラケットを使用しているブランド認知を生かし、より多くのインドのお客様に“Made by Yonex”の高品質のラケットをお届けし、『ヨネックスファン』の拡大に努めたい」
今年6月に開設した第2工場の稼働に伴い、今後3年をめどに現在の生産規模の3倍を目指す。
インドの交通インフラの分野にも日系企業が進出している。2015年に現地法人を設立した日本信号だ。
同社は日本の鉄道信号技術の国産化と発展を担い、1928年に設立した老舗の信号機メーカー。現地法人では主に、インドメトロの鉄道信号システムの営業活動やプロジェクト履行を担っている。
魅力は成長力と市場の大きさだ。インドメトロ市場は2020年時点の700キロ(13都市)から2025年には1700キロ(50都市)を目指して拡大中という。
国際事業部の村上聡部長は「これまでは、各都市のメトロ公社に向けた事業を行ってきましたが、今後はインド国鉄向けにも鉄道信号システムを導入する事業を推進していきたい」と意気込む。
インドの国土面積は日本の約9倍。インド国鉄は6万キロ以上の軌道と7千以上の駅を保有する。一方、日本国内の鉄道路線の総延長はJR・私鉄を合わせ約2万7700キロ。スケールの違いは歴然だ。村上部長はインドでのビジネスをこう展望する。
「国鉄の信号システム近代化や各都市メトロの整備など旺盛なインフラ投資が見込まれるインド現地に根差したビジネス展開を図り、弊社の安全で安心なシステムをインド全土へ提供していきたい」
(編集部・渡辺豪)
※AERA 2023年8月7日号