09年度にはインドでの年間生産が初めて100万台を突破、日本国内生産の95万台余を上回った。22年度のインド国内での自動車販売台数は約164万5千台。近年はインドを輸出拠点としても活用しており、中でも注力しているのはアフリカだ。「今後人口増が見込め、車を個人所有する需要も増えつつある」(鮎川副社長)のが理由だ。22年度にインドから輸出した約26万台のうち、約15万台がアフリカ向けという。
新車販売が世界3位
インドは昨年、乗用車と商用車を合わせた国内新車販売台数が約470万台に達し、初めて中国、米国に次ぐ世界3位に浮上した。このまま成長が続けば、インドは30年度に現在の約3倍の1千万台の大台に乗る、との予測もある。鮎川副社長はインド市場をこう展望する。
「今年、インドは人口世界一となり、各種統計によると、中間所得層の比率は大きな伸びを示し、経済発展に伴い所得水準もさらに高まることが見込まれ、将来的に自動車市場の成長は続くとみています。そのため生産能力の増強を図っており、30年度には現在の約2倍となる年間約400万台を目標としています」
EV(電気自動車)についても24年度に投入し、30年度までに6モデルを展開予定。価格を抑えるため、EVに必要なリチウムイオン電池をインドで生産するという。
インドのエンターテインメント事業分野でも、日本企業が存在感を高めつつある。「世界で10億人と直接つながる」というビジョンを掲げ、インドの放送業界でトップの座を目指すのは、ソニーグループだ。
同社は21年、インドで放送・映像配信事業を手がける子会社と、現地の放送大手の合併を発表。この合併完了後には、インドのメディアネットワーク市場の約25%を握り、米ディズニー傘下の放送事業者を抜いて最大手となる見込みだ。
多言語社会インドで動画配信サービス普及のカギとなるのは、各地域文化に根差したコンテンツとローカル言語対応とされる。同社は、合併を通じて多様なコンテンツを確保するとともに、自社開発したAIによる自動字幕生成技術を駆使し、視聴者の掘り起こしを進めている。今後急成長が見込まれるインドのエンタメ市場について同社広報部はこう話す。