3人が逮捕される前、捜査は難航していたという。犯行現場であるホテルの部屋からは、会社員男性の衣服や携帯電話、財布などの所持品はすべて持ち去られ、ベッドなどは整然とし、容疑者の指紋すら残っていなかった。ホテルに2人が入ってから約3時間後には犯行を終えて出ているだけに、“しっかり”とした計画の上での犯行とみられた。

 その後の捜査では、瑠奈容疑者と修容疑者が事件前、札幌市内の量販店で、ノコギリやスーツケース、ナイフなどを購入していたことが判明。道警は、これらが事件で使われた可能性があるとみて調べており、入念な準備をしていたとの見方を強めている。

 しかし、会社員男性の頭部は、「自宅内の浴槽に放置され、腐敗して臭いが漂うほどだった」(捜査関係者)という。

容疑者宅から押収物などを運び出す捜査員ら=2023年7月24日、札幌市厚別区

 用意周到な犯行をうかがわせる半面、事件後のそうしたずさんな状態に、

「綿密な計画性と行き当たりばったりの感じが入り交じっている」(同)

 と複雑な表現をした。

②瑠奈容疑者と被害者の接点と動機は?

 62歳の会社員男性と、29歳女性の接点がどこにあったのかも大きな焦点となっている。

 これまでの調べや周囲の話などから、会社員男性は、札幌市からは離れた自宅から、週末にはよく札幌市内の繁華街を訪れていたという。

 ススキノの飲食店関係者によれば、ディスコなどに女装して出入りしていた姿が目撃されている。そうした様子はコロナ禍前から確認されており、店内ではよく女性と話していたという。

 この飲食店関係者は、

「(会社員男性は)女装していたけど、ゲイなどではなく、女性のことが好きだったようです。女装の腕がすごくて、うまく溶け込んでいました。一方でトラブルもあったようです」

 と話しており、

「瑠奈容疑者ともディスコで知り合ったと聞いています」

 と振り返る。

 前出の捜査関係者は、

「瑠奈容疑者は会社員男性と何度か会うなかでトラブルを抱え、暴行も受けたという話が出ています」

 と語っている。

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