その上で「海鮮丼とかはコスパ良く稼げます。なかにはスーパーで買った刺し身を載せるだけの店もありました」と話す。
 
 一つの店舗が複数の専門店を名乗り、営業を続けることは法律に抵触しないのだろうか。
 
 広告規制に詳しい成真海弁護士は、
 
「景品表示法の優良誤認表示になり得ます」
 
 と話す。
 
「フードデリバリーサービスは、新型コロナの感染拡大の影響もあって広がりを見せていると思います。実際は専門店ではないのに専門店とうたうのは、消費者からしてみれば『ほかのところよりもおいしい』と思うもの。消費者に誤解を与えているため、優良誤認表示になる可能性が高いです」
 
 景品表示法の違反対象となった場合、措置命令が下され、店舗を運営する会社名の公示などがされるのだという。また、違反期間の売り上げに応じた課徴金も科せられるという。
 
 前出の20代男性が話していた居酒屋に記者が話を聞きに行ったところ、店員とみられる男性は「担当者はいない」とだけ回答した。連絡先を渡したものの、その後連絡が返ってくることはなかった。
 
 その2週間後、同じデリバリーサービス店でその居酒屋を調べてみると、その居酒屋から提供されていると思われる専門店はすべて消えていた。

店舗名称に関する新しいガイドラインを策定

 このような実態をフードデリバリーサービスの運営会社はどう捉えているのか。
 
 ゴーストレストランを含め、今回、冒頭の男性が海鮮丼を頼んだ“専門店”を掲載していた「Uber Japan」(ウーバー)などに問い合わせた。
 
 ウーバーは広報の担当者が文章で回答した。それによると、
 
「プラットフォーム上で展開されるバーチャルレストランの店舗名称の表記について、実態の調査を進めております。このたび、バーチャルレストランの店舗名称に関する新しいガイドラインを策定し、7月16日(回答日は7月11日)に全店舗を対象に導入いたします」
 
 と説明があった。

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審査基準の厳格化で“専門店”はなくなる?