新型コロナの拡大で在宅時間が増え、比例するかのようにフードデリバリーサービスは市場を拡大している。
外食市場の情報を扱うエヌピーディー・ジャパン(東京都港区)が2023年2月に公表した、外食・中食市場の「動向分析レポート」(2022年1~12月)によれば、2022年におけるフードデリバリーの市場規模は7754億円に上り、コロナ前2019年同期比で85%増を記録した。
市場拡大で新たなサービス形態も急増
市場拡大に伴い、客席を持たない、「ゴーストレストラン」という形態のサービスも出てきた。
もともと発祥はニューヨークという。客席は必要ないため、狭いスペースにキッチンがあれば稼働できる。なかには、20平方メートル以下の狭い場所で、間借りしてキッチンを利用しているケースもあるという。注文は宅配サービスに任せているため、店は調理のみに専念ができる。
参入するハードルも高くない。客席を持つ飲食店への新規出店が1千万円程度はかかると言われている一方で、ゴーストレストランは初期費用が50万円程度で始められるという。
日本では、宅配サービスの需要が高まった2019年ごろから広がりを見せているという。
ただ、関係者によると、
「コロナ禍でゴーストレストランの需要が高まり、ゴーストレストランを間借りしている利用者のなかには、一つの店で複数の“店”を持つ人が出てきた」
という。間借りしている一つの店舗が、和食、洋食、中華など複数の“専門店”を持っているのだ。
産経新聞は今年2月11日、実店舗で客席を持たない宅配サービス専門の飲食店“ゴーストレストラン”が急増し、なかには一つのゴーストレストランが10個の専門店をうたっていたことがあったと報じた。
ゴーストレストランの経営を手伝ったことがあるという都内在住の50代男性は、
「フードデリバリーサービスによっては審査の甘いところもある。一つの店舗で複数の店を簡単に出店できる。お客さんもそれぞれ別の店と思っていて、注文件数が圧倒的に増える」
と内情を打ち明ける。