英語で外国人と会話をしてみたいけれど、どのような勉強をすればいいのかわからない。そんな初心者におすすめなのが、英語を使わず日本語で「音から」学ぶ勉強法だ。AERA 2023年7月31日号から。
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英語を話せるようになるために、英語を使わない。そんな勉強法がある。カタカナ英会話ジェッタ代表兼校長の長谷川雄一朗さんは、著書『通じすぎて怖い カタカナ英会話』で、大中小三つで表記したカタカナをそのまま読むことで、外国人に伝わる英語を学んでいく勉強法を提唱している。
あの孫正義氏は、カタカナ英語でスティーブ・ジョブズと渡り合ったというし、コロナ禍でおなじみになったWHO(世界保健機関)のテドロス事務局長のざっくばらんな英語も、私たちに勇気を与えるものだった。しかし、そういった「カタカナっぽい」英語と、長谷川さんの言うカタカナ英会話は、また少し異なるものだ。
「従来のカタカナ英語といえば、たとえば『ワラ(water)』『掘った芋イジルナ(What time is it now?)』に代表されるイメージですが、それで通じるなら十分OK、と考えることは大切です。英語はあくまでもコミュニケーションの道具ですから。ただ、100%ネイティブの発音でなくても、外国人に伝わる英語の音の出し方のコツというものはある。私が推奨するメソッドは、そこをカタカナで習得しようというものです」
例文を見てほしい。英語のアルファベットの音を、忠実にカタカナで「再現」してある。アルファベットの英文はあえて省き、カタカナのみ。日本語で英語を勉強できるため初心者にもハードルが低いが、一方でたとえば「アイムオンダウェイトウディエアポート」がすらすらと口から出るようになった人が、「エアポート」の綴りは知らない、ということも起こりうる。問題ないのだろうか。
「全くオッケーです。英語表記を知りたいなら、たとえばGoogleの音声入力でアルファベットを確かめて例文の下に書き込むなどして、オリジナルの例文集を作るのもいいでしょう。ただ、綴りがわからなくても構わない。だって言葉はコミュニケーションの道具ですから」
部屋で独学できることもポイントの一つだ。自分で繰り返し、声に出して練習してみる。その音を自分で聞くうちに、他の人が発する英語の発音も耳に入ってくるようになる。
「慣れてきたら、一つ一つの単語をできるだけ速く読む練習をする。外国人の話すスピードを聞けるようになるためです。アルファベットなどの文字は極力なくしていき、『音から』学んでいくことがポイントです」
(編集部・小長光哲郎)
※AERA 2023年7月31日号より抜粋