谷合自身の棋士としての今後の目標は?
「謎ですね(笑)。私だからできることをやるのがいちばんだと思うんですけど、具体的にそれがなんなのか、まだよくわかりません」
電子情報学の専門家として将棋連盟でデジタル化を推進していく立場になるのでは?
「確かにそういうのは、私がやるべき仕事になるのかもしれないですね。たとえば大盤解説もデジタルの盤面なら操作しやすい。あとは中継されていない棋譜や、新聞に掲載されている観戦記をウェブ上で手軽に購読できるようにするとか。権利の問題もあって難しいでしょうが」
コロナ禍でリモートワークが普及した。将棋界でも東西の棋士がリモートで公式戦を指す未来はあるだろうか?
「対局に関しては、アナログなところは残してほしいと思っています。将棋は日本の伝統文化としての側面もあるのが他のゲームとの違いでしょう。そこをなくしてしまうと、なかなか受け入れてもらえないんじゃないかなと。パソコンに向かってポチポチやるのは味気ないじゃないですか(笑)」
好きなお酒も、一緒にみんなで飲むほうが楽しい?
「そうですね。この間、(オンライン会議システム)Zoom飲み会に誘われたんですけど、それは断りました(笑)」
(文/松本博文)
※松本博文著『棋承転結 24の物語 棋士たちのいま』(朝日新聞出版)から一部抜粋/AERA2021年11月1日号初出