では、具体的にはどのような改革が求められるのか。
「刑務所に視察に行くと、受刑者たちはみな下を向いて黙々と作業しているんです。質問があるときは、覚悟を決めて手を挙げて、『願います!』と言う。『なんだ?』と指されてはじめて、『材料がなくなりました!』などと発言できます。こんなやり方では、受刑者のコミュニケーション能力を奪ってしまう。『刑務作業によって、規則正しい生活や労働の習慣が身につく』と話す刑務官もいますが、強制的にやらせているだけ。本人の更生というより、刑務所の規律を維持する効果しか期待できません。現場の風通しをよくして、受刑者も生産工程や製品開発に意見できるようになれば、もっとやる気が出るようになると思います」
取材終わりに、記者もブルースティックを買い、家で使ってみた。靴の泥汚れがみるみる落ちていくその様に、“メイドイン刑務所”ブランドの明るい未来を願った。
(AERA dot.編集部・大谷百合絵)