驚異の汚れ落ちで人気の石鹸「ブルースティック」が高額転売されているというニュースが、7月12日、ネット上でバズった。話題の理由は、ブルースティックが「刑務所製」だったこと。受刑者たちは義務である刑務作業の一環として、日々、さまざまな製品を生産している。なかには「まさかこんなものまで?」と驚くような品もあるが、コスパや品質を評価する消費者は多い。いっぽう専門家からは、刑務作業のあり方についての疑問の声も上がっている。刑務所における“ものづくり”の実態を取材した。
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7月12日、突如Twitterでトレンド入りした、謎のワード「刑務所製せっけん」。「3倍で転売される『刑務所製せっけん』 専門官も驚く品質維持の現場」という朝日新聞デジタルの記事が、猛烈な勢いで拡散されていた。「汚れがよく落ちると評判のロングセラー商品だが、コロナ禍で生産量が減少して、転売のターゲットになったようだ」という記事内容に、「これな!えり汚れとか袖汚れとか全部キレイに落ちるやつ!」「息子たちの野球ユニホームや靴下洗うのに重宝なんですよね。3倍はひどい」などと、ブルースティックの洗浄力を称賛し、転売に憤るコメントが相次いだ。
刑務所で作られたオリジナル製品(通称、CAPIC製品)を販売する公益財団法人「矯正協会」によると、横須賀刑務支所で作られているブルースティック(3本組で税込み400円)は、売上ナンバー1商品だという。協会の刑務作業協力事業部・副部長の櫻井智さんは、「『泥汚れがきれいに落ちる』というお母さんたちの口コミで人気が広がったんです」と胸を張る。
ブルースティック以外では、赤穂の塩を使った乾麺(「ひやむぎ」は20袋セットで税込み3600円/横浜刑務所製)や、スタイリッシュな「マル獄」のロゴがプリントされた前掛け(「ヴィンテージ風」は税込み2200円/函館少年刑務所製)も売れ筋。市原刑務所内で育てた菌床栽培のシイタケや、富山刑務所製の400万円超えのお神輿といった変わり種もあり、ラインアップはかなり幅広い。