各委員会では、ルールを守るための取り組みを考案。体育委員会がけん玉の動画を作ったり、図書委員が「本を読みましょう」と啓発したり、さまざまな方法を提示した(榊先生提供)
各委員会では、ルールを守るための取り組みを考案。体育委員会がけん玉の動画を作ったり、図書委員が「本を読みましょう」と啓発したり、さまざまな方法を提示した(榊先生提供)

――榊先生は、子どもたちのスマホ使用時間を減らしていく方法として「マイルール」を考えることを提案されています。2022年8月~2023年3月には、宮城県白石市の小学校の協力で実際に児童たちに取り組んでもらったそうですが、スマホの使い方に変化はありましたか。 

 夏休み明けの全校集会に参加させていただき、スマホの使用が脳にどのような影響を与えるかをお話しました。その後、学級会でスマホやゲームの使い方に関するルールを作ってもらい、それをクラスの代表が集まる代表委員会に持ち寄り、学校単位でのルールを決めてもらいました。それが次の3つのルールです。

(1)1日2時間以内
(2)寝る1時間前までにやめる
(3)宿題などやるべきことが終わってから使う

 大切なのは、大人が口を出さないこと。大人が頭ごなしに「やめなさい」と抑圧すると反動が大きく、隠れたり嘘を言って使ったりする子どもが出てしまいます。子どもが自分たちで決めたルールだと認識させる必要があります。

【図2】「マイルール」の取り組み後に、マイルールを守れる子どもが増加(榊先生提供)
【図2】「マイルール」の取り組み後に、マイルールを守れる子どもが増加(榊先生提供)

 このマイルールの取り組みを半年間ほど実施したところ、ルールを守れる子どもの割合が増え(【図2】参照 ※外部配信先では図版などの画像が全部閲覧できない場合があります。図版をご覧になりたい方は、AERA dot.でご覧ください)、自分で自分を管理できる「自己管理能力」が高まってきたことが伺えました。また、スマホ・ゲームの依存傾向が高い児童の割合も減少しました。今後は、半年経つとどうしても慣れが出てくるので、それをどう克服するか、また1日に3時間以上使っている子どもは自分だけで管理するのが難しいので、保護者の方に協力を得られるのか、模索しているところです。

――自分たちでスマホの使い方を考えて、それをどう実行するかが、子どもにとっても大人にとっても重要なのですね。

 本のテーマはスマホの使い方ですが、もっと根本的な、人間として「生きる力」を育てたいのです。そして大人たちは子どもの将来を、真剣に考えていかなければならないと思います。この本が、そのきっかけになればうれしいです。

(取材・文/柿崎明子)

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