榊浩平(さかき・こうへい)/1989年、千葉県生まれ。東北大学加齢医学研究所助教。博士(医学)。専門は認知機能、対人関係能力、精神衛生を向上させる脳科学的な教育法の研究、開発を行う。著書に『スマホはどこまで脳を壊すか』(朝日新聞出版)、共著に『最新脳科学でついに出た結論「本の読み方」で学力は決まる』(青春出版社)
榊浩平(さかき・こうへい)/1989年、千葉県生まれ。東北大学加齢医学研究所助教。博士(医学)。専門は認知機能、対人関係能力、精神衛生を向上させる脳科学的な教育法の研究、開発を行う。著書に『スマホはどこまで脳を壊すか』(朝日新聞出版)、共著に『最新脳科学でついに出た結論「本の読み方」で学力は決まる』(青春出版社)

――これから私たちはデジタルデバイスと、どうつきあっていくべきでしょうか。

 スマホが便利な道具であるのは間違いないですから、「まったく使うな」と言うつもりはありません。前頭前野を使わない作業や行動は、スマホに置き換えても構わないのではないかと考えます。ただ、デジタルデバイスでなければいけないものは意外と少ないです。

 まず、使う目的を仕事か余暇かに分けます。仕事での使用分は削るのが難しいですから、余暇で使っている時間について制限を設けます。たとえば子どもと2時間と決めたのなら、そのなかで何に使うかのプランを立ててみましょう。プランを守るのは存外に難しいのですが、計画を立ててやり通す力を使うため前頭前野のいいトレーニングになります。

 最近は新聞や本をスマホやタブレットで読む人が増えていますが、最近の研究では紙で読むほうが理解が深く、記憶にも残ることがわかってきました。私自身は電車の中ではスマホをなるべく使用せず、新書を1冊持参して読むようにしています。デジタルに頼っていたものを少しずつアナログに戻し、頭を使うことで前頭前野を回復させましょう。

 また、子どもに「やめなさい」と注意しておきながら、大人がだらだらと使っているようでは子どもにとっても逆効果です。ファミレスで子どもと一緒にいるのに、スマホを使っている親御さんを見かけます。子どもと一緒にいるときには、子どもの目をしっかりと見て話すようにしてください。われわれの調査から、親子で会話をたくさんしているほど、子どもの言葉の発達によい影響があることもわかっています。子どものコミュニケーション能力も鍛えられるのです。

 最近では信号待ちでもスマホを取り出す大人を見かけます。ほんの数分も耐えられないようです。とくに子どもが一緒なら、空や周りの草花を眺めて話しかけてあげてください。1~2分の間にスマホで何らかの情報を得るよりも、もっと大事なことがあると思います。

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子どもたちのスマホ使用時間を減らしていく方法とは?